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始末書の提出を拒否したら、懲戒処分は可能か?
2012.11.01
Ⅰ.今回の課題
制裁に該当する行為をした社員に、始末書を書くように指示したところ拒否をされました。この場合、業務命令違反として懲戒処分はできるのでしょうか?Ⅱ.始末書とは?
始末書とはどういったものをいうのでしょうか?
一般的には、『過ちを反省するために、事情を記して関係者に提出する書類』をいいます。 つまり不始末を犯した社員へ反省(謝罪)を求め、再発防止策を講じるためのものです。 「いつ・どこで・だれが・何をしたのか」という事実と反省や謝罪の意図を文書に残すことで社員と労務トラブルになったときに、立証文書として使用できます。
ただし、反省や謝罪は、あくまでも不始末を犯した本人の意思によるもののため、強制的に書かせることはできません。Ⅲ.対応方法
では、どのようにして文書の提出をさせればいいのでしょうか。
今回の場合は、上記のとおり始末書としての提出を拒否されていますので強制はできません。従って懲戒処分の対象にすることも現実的には不可能です。ただし、業務命令として「事実」と「今後の対策」を報告書として提出させることは可能です。
この場合、あくまでも業務命令として報告書を提出させるので、拒否した場合は懲戒処分とすることが可能です。もちろん「事実」と「今後の対策」を記載するだけで、謝罪的な文章を書くことを強制できませんのでご注意ください。
また、始末書を拒否した社員の言い分(想い)を聞くことも重要です。なぜ書きたくないのか等を話し合いの場をもって確認することも大切になります。今後、始末書もしくは報告書を取付ける際には、必ず指導歴を残すことをお勧めします。「いつ・どこで・どのようなことに関して・どのような指導を行ったのか」を紙面もしくはデータで残しておくことで、会社として職場の秩序を維持するための努力をしたという証拠になり、こちらも立証文書として使用することができます。