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★労務トラブル対応110番

・再雇用トラブルを避けるためには?

Ⅰ.今回の課題

建設業を営むD社は、一応、定年は60歳となっていますが、これまで特に定まった方法もなく定年後も従業員を雇用していました。基本的には本人に問題が無ければ労働条件の変更もせず、そのままの状態で働いてもらうことを常としています。ある時、社長のM氏が取引先の経営者であるS氏から、60歳到達時の賃金から下げると給付金がもらえると聞き、また必要であれば再雇用者を選別ことができると聞いたのです。

Ⅱ.経過報告

そこで早速、M社長は60歳を超えていたA氏に対しては、給付金が満額もらえる60%程度に賃金を引き下げるとともに、働きぶりが悪いと判断したB氏に対しては解雇を申し伝えたのです。 これに反発したA、B両氏は不当だとして訴えをお越し、それぞれ元の賃金に戻すことや解雇を撤回し再度、雇用を続けるように要求を出したのです。

Ⅲ.最終結果

M社長は当然、烈火のごとく怒りましたが、何がどうなっているのか分からないままで、知り合いの弁護士に相談したところ、必要な手続きを飛ばしているからだとたしなめられ、結局は元の状況に戻すことになったのです。納得いかないM社長は取引先のS氏に文句を言いましたが、S氏は「うちは社労士に任せていたから大丈夫」と言って、にべもなく取り扱ってくれませんでした。

Ⅳ.今回の課題への対策とポイント

確かに定年後の再雇用者には「雇用継続給付金」が、最大で低下した賃金の15%相当が本人に給付されますし、労使協定で明確な基準があれば、再雇用の対象とするかの選別も行うことができます。 ただしこれらはあくまで労使での合意の基でのことであり、D社のように何の説明や手続きもなく、一方的で会社の恣意的な行為は認められません。再雇用をする場合のポイントは以下の通りです。

・定年の年齢を就業規則等に明確にしておくこと
現在の法制では定年は60歳以上で、60歳以降も継続的な雇用が義務付けられています。(平成25年3月31日までは64歳、それ以降は65歳まで再雇用などを行う必要があります。)ただし、定年年齢が明確になっていないと、定年がないものとされ、場合によっては一生の雇用義務があるとみなされます。また定年後には、雇用条件を見直すといった文言の明文化も必要でしょう。

・再雇用の条件は個々の状況により決定すること
就業規則その他で規定がない限り、原則としては、再雇用後の条件は、会社の任意で決められます。(ただし「再雇用時は80%の賃金で契約する」などと、何かで規定してある場合はそれに従います。)これは賃金だけでなく、雇用期間や労働時間その他の条件全般に言えることですので、一定の条件を会社側で提示し本人に同意をもらうようにすべきです。(そのための契約書面の提示は必須と言えます。)

・選別を行う場合は客観的で合理的な基準を設けること
もし再雇用時およびその後の更新時に、継続的に雇用するかを選別する場合は、労使協定の締結が必要です。(協定書自体の届出までは不要。)この場合の選別基準は、会社の恣意的な内容(例えば「会社が必要と認める者」など)ではなく、社会通念上、妥当なものである必要があります。

注意が必要な点として、今後の法改正によりこれらの選別基準が無効とされ、全労働者に65歳までの再雇用が義務化される可能性があります。
ただその場合も雇用条件自体は、労使の合意で決められるものですので、個別の状況(年金の有無など)で判断されることをお勧めします。

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