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  • 採用時に、退職後の秘密保持および競業避止に関する誓約書の提出を義務化できる?

    2013.04.02

    Ⅰ.今回の課題  
     中途で入社し、勤続10年のAさんが退職することになりました。なんと次の転職先は、ライバル会社の××商事との噂が。
    さらに、退職に際して、秘密保持および競業避止の誓約書の提出を拒否されました。どのような対処が可能でしょうか。

    Ⅱ.経過報告
     まず、秘密保持義務とは使用者の営業秘密をその承諾なく使用または開示してはならない義務であり、競業避止義務とは使用者(会社)と競業する業務を行わない義務のことです。
    労働契約中(在職中)であれば、社員である以上、使用者の正当利益を犯してはならないという忠実義務、誠実義務を負っています。ですので、就業規則や労働契約書に書かれていなくても義務は発生しています。  
    では、退職後については。。。  
    過去には、労働契約後でも退職したことにより直ちに失われるものではない、とされている判例もあります。(就業規則に記載があることが前提ですが。)もちろん、加えて誓約書も提出されているのであれば、その遵守義務を確認しているわけですので大変有効です。 (東京リーガルマインド事件など)  
    ただし、「就業規則とは就業中の労働条件や規律についての規範であるので、退職後の行動が制約できない」とされている判例もあります。(フォセコ・ジャパン・リミテッド事件など) では、どのような対策が必要なのでしょうか。

    Ⅲ.対応方法
     まず、このような問題に対しては、就業規則に競業避止、秘密保持の義務についての記載は必須です。特に秘密保持については使用者側に立った判例も多いので、企業防衛の観点できちんと対策を行っておくと安心できます。  
    特に、提出を求めやすい入社時の誓約書も取り交わしておきましょう。管理職に昇格する際にも、誓約書の提出を求めておくと、なお良いと思います。  
    最終的に労働争議に発展した場合ですが、競業避止については、就業規則に記載があったとしても、元の会社の不利益、本人の転職・再就職についての不自由、消費者の利害など総合的判断になります。憲法に職業選択の自由が謳われていますので、その部分との兼ね合いも考えられます。  
    また、退職時における競業避止義務および秘密保持義務について誓約書の提出を拒否された場合、提出を強要することは難しいと思われます。  
    しかしながら、社員であれば当然遵守義務を負うべき就業規則にこの部分が謳われていれば、誓約書の提出の有無にかかわらず、使用者側も主張できる部分はあります。(ただし、業務の専門性、会社での地位によって異なります)。  
    また、こうした誓約書の提出につき、功労一時金である退職金の減額を行う場合は、やはり退職金規程にそれを明示する必要があります。  
    何よりも、こうした問題が発生しないように、規程や入社時の誓約書の中で対策をしておくことがお勧めです。  
    例えば、競業避止であれば、具体的な範囲、制限期間、地域、代償措置など。秘密保持であれば不正競争防止の観点も記載されておくと良いと思います。  
    また、その時々の判例にあわせて、規程や誓約書の内容を見直しすることも大切です。記載内容、運用について、ご相談がありましたら、ブレイン・サプライまでご連絡下さい。

    (山岸 芽里)

ブレインサプライ