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  • ・離職手続きの遅延損害は払う必要がある?

    2011.06.28

    Ⅰ.今回の課題

    製粉業を行うN社は社員数が百名程の中堅企業です。
    しかしながら総務は担当がよく代わり事務手続きは滞りがちなことが間々ありました。
    ある時、長らく経理職を行ってきたK氏が会社との反目から、退職勧奨を受け離職することになりました。
    K氏が退職して数か月後、退職日から今日までの損害賠償を求める書面が届いたのです。

    Ⅱ.経過報告と対策

    その書面によると、退職日以前から請求していた離職票の到着が遅れた(退職から2か月後に受領)ことと、離職理由が「本人都合」とされたため、失業給付が得られる期間が短くなった(本来なら240日の給付期間が120日になった)ことや、更に失業給付を受けるまでの給付制限(3か月)が生じたため、その期間分への補償を求めるものでした。
    請求金額は、手続きが遅延したことに対する2か月分の給与相当で60万と、失業給付の日数分の差額=120日分で108万、給付制限期間分の補償=90万で、合計258万円という内容でした。

    Ⅲ.最終結果

    書面を受け取った総務担当者は、経営陣に報告し本人と話し合うことになりましたが、話し合いは平行線をたどり、このままでは「司法の場で決着を」という状況になりました。双方共に要する時間と労力および弁護士費用等を勘案し、最終的には遅延損害分の60万円+解決金の支払いで和解に至りました。

    (失業給付の日数分および給付制限分は、離職票が届いた時点で不服申し立てを行わなかった、K氏に落ち度があったと本人が認めたため、この分に関しては請求から外すことに合意したのです。)

    Ⅳ.今回の課題への対策とポイント

    まず離職の手続きはどのようになされるのでしょうか。
    基本的には保険関連の資格喪失と59歳未満の方で本人が希望した場合には「離職証明書」の作成が必要です。
    この離職証明書を基に、職安での求職活動を行い、失業給付を受けるための「離職票」が発行されます。
    この離職証明書には、退職までの賃金の他、離職理由を記載する欄があり、この内容で失業給付の日数や受給開始までの期間が大きく異なります。

    (会社都合の場合、勤続年数にもよりますが、自己都合の倍以上になります。
    また3カ月間の給付制限が掛からず、1週間の待機期間後に受給が可能となりますが、会社は助成金の受給できなくなったり、場合によっては行政の調査が入ったりすることもあるので注意が必要です。)
    この離職証明書、法的には退職日の翌日から「10日以内」で職安に提出する必要があり、故意に届出を怠った場合などは、その期間の損害が発生したと認められると、賠償責任が生じる可能性があります。
    (更にはその期間の遅延損害金=年利14.6%を求められる場合もあります。)
    また離職理由を虚偽に申告した場合、雇用保険法違反として、労使ともに6カ月以下の懲役または会社には30万円、被保険者には20万円の罰金を命じられることがあります。

    そして最も理解が必要な点は、雇用保険に関する不正受給を行った場合、そこで得られた金額の返還を求められるだけでなく、その倍額を賠償しなければなりません。(いわゆる”3倍返し”)これは労働者からの求めに応じ、虚偽の離職理由とした会社なども”連帯責任”を負わされますのでご注意ください。

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