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  • ・定期昇給は必ずしなければならないのか?

    2011.05.30

    Ⅰ.今回の課題

    小売業を営むK社は、堅実な経営でこれまで順調に売り上げを維持してきました。経営者の理念からこれまでは多少なりとも、毎年定期的に、賃金を上げてきました。
    しかしながら昨今の不況から、今年に限っては昇給ができない状態となり、社員に説明なくそのままでいたところ、社員内から定昇を求める声が上がったのです。

    Ⅱ.経過報告と対策

    これに驚いた社長は、会社業績を説明しましたが、社員は納得しません。それもそのはず、K社の賃金規程には「毎年4月に昇給を実施する。」と明文化されていたのです。その一文を根拠に社員からの定期昇給の要求を上げ続けたのです。

    (ただし、その賃金規程上にはいくら昇給するといった文言や、定昇を規定した賃金表などは含まれていませんでした。)

    Ⅲ.最終結果

    最終的には全員一律に1,000円昇給することで折り合いがつきましたが、社長としてはしっくりとこないものを感じ、社員側としても「たかが1,000円」という理解にしかならないような結果となってしまったのです。

    Ⅳ.今回の課題への対策とポイント

    今回のような場合、必ず昇給を行わなくてはならないでしょうか。厳密に言えば、賃金規程という「ルール」を遵守する義務があるため、会社としてはたとえ1円でも昇給すべきと言えるでしょう。
    ただ判例などでは、昇給できない明確な根拠があり、それが合理的な内容であれば、昇給を行わなくても差し支えないとされます。K社の場合も、事業運営においてかなりの赤字が生じているといった理由があれば、昇給規定の履行を免除されたかもしれません。
    こういった事態を避けるため、賃金規程や労働契約書面には、「昇給」ではなく「改定」や「見直し」といった表現にとどめておく方が無難でしょう。
    この点は場合により「降給」することもあるでしょうから、そういった状況に対応するための布石でもあります。
    (勿論、降給する場合は、それなりの根拠が必要となりますが、それらが整備されている場合、賃金の減額も可能です。)

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