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  • ・休職からの復職者の降格は合法?

    2011.12.01

    Ⅰ.今回の課題

    食品の製造と販売事業とするS社は、地方にあって数十名の従業員を抱える中堅企業です。地方にあっても積極的に新規展開をするなど、業績は十丁に伸びています。そんな中、ある部署の管理職者であるAマネージャーが鬱症状を訴え数か月間の休職をした後、人手不足もあり一応、復職をしましたが、休職前程の業務水準に達していませんでした。

    Ⅱ.経過報告

    本来、マネージャーには部下の指導育成だけでなく、部門の数値管理や各人の業務の進捗把握などを求めていたものの、A氏は体調も思わしくなく、経営陣の求める実績が出せませんでした。暫く様子を見たものの一向に成果が上がらない状況に、業を煮やした社長はA氏に降格処分を命じ、マネージャーからリーダー職に降格し、併せて役職手当も半額以下になりました。

    Ⅲ.最終結果

    降格処分を受けたA氏は、少しの間、出勤していましたが、再び体調を崩し結局は退職を余儀なくされたのです。経営陣は仕方ないと話していた矢先、A氏から降格は不当であるとして、減額された手当の差額と退職に至った事の慰謝料を求める訴えがありました。S社は当初は争うつもりでいましたが、地方の企業ブランド維持もあり、一定額の支払いで和解に応じたのです。

    Ⅳ.今回の課題への対策とポイント

    トラブルを防ぐために、S社としてはどう対応すべきだったのでしょうか。鬱症状のようなメンタルヘルス対策は、今後、特に慎重な対応が求められます。

    ①復職の判定は適確か?
    まず休職からの復職に際しては、適切な「復職判定」が必須といえます。今回、人員不足という状況もあり、S社はA氏が復職に耐えうるか否かの判断を誤った可能性があります。復職の際には休職に至った症状が治癒したか否かが重要です。この「治癒」とは従前の業務を通常にこなせる状態かがポイントです。もし本人の掛かり付け医がOKを出したとしても、それが適切な判断かを見極める必要があります。状況によっては、自社の産業医などに診てもらい、助言を得るべきでしょう。

    ②復職後の措置はどうするか?
    次に復職後の経過措置をみておく必要があります。今回、S社はA氏に対し復職当初から、従前の水準を求めていましたが、いきなり100%の成果を求めるのは酷でしょう。通常、メンタル的な症状の場合、再発の危険性は復職後数か月から1年程度みておく必要があります。その期間については、通常の業務を行う場合も、達成水準を引き下げるなど、一定の余裕を持たせるべきでしょう。状況によっては、マネージャー職ではなく、リーダー職からの復職を検討すべきかもしれません。

    ③復職者の待遇と評価はどうするか?
    上記の経過措置とも関係するところですが、復職者に通常の社員と同様の査定を実施する場合は、個々の事情を考慮する必要があります。例えば、一定のリハビリ復職として短時間勤務を認めた場合や、始めから下位の職位での復職の場合は、当然に待遇や評価が下がります。そういったことを復職前に本人と話をし、同意を得ておけば、復職後に低評価や降格処分などを行う必要はありません。復職に際しては、どういった待遇で様子を見るかの確認は必須と言えるでしょう。

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