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  • 「労働契約法の一部を改正する法律案」

    2012.09.05

    2012年8月3日、「労働契約法の一部を改正する法律案」が衆議院で可決されました。

    今回の法改正は、有期雇用で働く人たちから「雇い止めへの不安」や「処遇に対する不満」が指摘されていたことから、これを解決する目的という名目で改正されたものです。主なポイントは下記の3点です。

    1 同一の事業主に5年間雇用されているパート社員、契約社員等、有期雇用契約をしている者から申し出があった場合は、有期雇用から無期限の雇用契約に変更すること

    2 有期労働契約の雇止めに関する判例法理の法定化

    3 有期労働契約であることを理由に職務内容や配置転換等の差別的扱いの禁止

    上記3つのポイントについて確認できているのは、以下の通りです。

    (1) 5年間雇用の起算日はどこからになるのか?

    施行日(開始日)から5年間でカウントされます。つまり現在パート社員や契約社員で雇用期間が5年を超えていても、すぐには無期雇用契約への変更の対象にはならないということです。

    (2) 5年を超えると有期契約の対象者全員が無期契約になるのか?

    あくまでも本人からの申し出(希望)があった場合に変更の対象になります。

    (3) 5年を超えて契約することはできないのか?

    有期労働契約は5年が上限となります。ただし、6か月間のクーリング期間(空白期間)を空け、再度雇用契約すれば前の契約期間は通算されません。

    空白期間とは、同一の事業主以外の事業主に雇用されているか、離職している期間をいいます。

    (4) 労働条件は、正社員と同じにしなければならないということか?

    労働条件はこれまで通りで問題ありません(労働時間、労働日数等)。

    ただし、無期限の労働契約となりますので、これまでのように期間満了の契約解除等は簡単にできなくなりますのでご注意ください。

    (5)判例法理の法制化とは?

    これまで、厚生労働省では、有期契約社員とのトラブルの防止、解決を目的に「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」というものを定め、トラブルがあった際にはこの基準を基に裁判所が判断をしていました。この基準が判例法理です。

    例えば、①業務の客観的内容、②契約上の地位の性格、③当事者の主観的態様、④更新の手続・実態、⑤他の労働者の更新状況、⑥その他の判断要素をいいます。

    これまでは、法律化されていなかったこれらの基準が、労働契約法に盛り込まれ法的な規制化がされることになります。

    これは、無期雇用契約にしなければならないという規制ではなく、複数回有期契約の締結と解除をしている場合は、継続して雇用されていると判断されるという従来通りの雇止めに関する規制が労働基準監督署でも行われるようになったということです。

    今回の改正案は成立しており、公布日より一年以内に施行となる予定となっているため、来年の春あたりが濃厚と思われます。

    また、有期雇用を無期雇用に変更するということは、場合によっては退職金を支払う対象者が増える可能性があり、退職金制度がある企業には大幅な負担増になる可能性もあります。これを機に退職金制度の見直しをされてもよろしいのではないでしょうか。

     

    ※上記(1)~(5)は、2012年8月現在の状況を記載しております。

     施行日までに内容が変更される場合がありますので、その際には改めてご連絡いたします。

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    【労働契約法の一部を改正する法律案の概要】

    有期労働契約を長期にわたり反復更新した場合における無期労働契約への転換などを法定することにより、労働者が安心して働き続けることが可能な社会の実現を図る。

    【1 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換】

    ○ 有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合(※1)は、労働者の申込みにより、無期労働契約(※2)に転換させる仕組みを導入する。

    (※1)原則として、6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。

    (※2)別段の定めがない限り、従前と同一の労働条件。

    【2 有期労働契約の更新等(「雇止め法理」の法定化)】

    ○ 雇止め法理(判例法理) を制定法化する。

    (※)有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合には、雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、有期労働契約が更新(締結)されたものとみなす。

    【3 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止】

    ○ 有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとする。

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