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  • ■定年後に再雇用を行う場合の選別は可能か?

    2011.02.01

    Ⅰ.今回の課題

    中高齢層が多く働く製造業のR社は、定年60歳間近にした従業員が多数います。基本的には定年後も賃金の見直しを行ったうえで働いてもらっていましたが、昨今の不況から定年到達時に選別することにしました。対象となったA氏はR社での勤続年数も短く、他の従業員よりも生産性が低い状況だったので、定年を機に退職してもらうことにしました。ところがA氏から「法律違反だ!」との声が上がり、継続的な雇用を求める訴えがあったのです。

    Ⅱ.経過報告と対策

    R社の就業規則では、「定年到達者については、65歳まで希望者全員を再雇用する。」とありました。このことからA氏への処遇は「解雇」とみなされ、このままでは解雇の撤回や慰謝料の請求などに応じなければならない状況になってしまいます。そこでR社ではA氏と話し合いを行い、妥協点を見つけることにしたのです。

    Ⅲ.最終結果

    結論としては、今回の定年退職は白紙に戻し、改めて他の従業員と同様に再雇用することにし、慰謝料などの請求は行わないことになりました。ただ、雇用条件については、契約期間を定めその更新ごとに見直しをすることで合意し、とりあえずは一段落した形になりました。

    Ⅳ.今回の課題への対策とポイント

    改正高年齢者雇用安定法では、65歳未満の定年を定めている場合、就業規則などで選考基準の規定があれば、再雇用者の選別が可能とされていました。しかしながら、R社の規定のように「希望者全員」などとなっていれば、会社側として選別することができません。

    またこれまで再雇用の選定基準について、中小企業に関しては、平成23年3月31日までは「就業規則その他」で定めておけばよかったのですが、平成23年4月1日以降は、「労使協定 の作成が必要となります。(労使協定そのものの届出は不要です。) この選定基準については、厚生労働省の通達や関連法のQ&Aなどでは「具体的」であることと「客観的」であることの2つの要件が必要とされます。例えば、「会社が必要と認める者」や「上司の推薦がある者」という内容では、基準が無いものとみなされます。 選定基準の決め方の例としては、

    ①定年退職日の基準日の3カ月前までの過去3年間の出勤率が、毎年90%以上であること②基準日から遡って過去3年間に、減給以上の懲戒処分を受けていないこと③基準日までの過去3年間の人事考課において平均してBランク(平均)以上であること以上のような内容をそれぞれの企業の実情に応じて、十分に労使で協議を行ったうえ、具体的で客観的な基準作りをお勧めします。特に一定の職位にある者や特定の職種について限定することは、使用者による恣意的な対象者の限定につながりますので注意が必要です。

    まだ労使協定を締結されていない場合は、上記の点をご理解のうえで早急にご対応いただければと思います。 (お客様の中で、まだ労使協定を作成されていない場合は、必要に応じアドバイスをいたしますので、お気軽にご相談ください。)

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